「静岡・山梨のうまい蕎麦83選」刊行にあたって

「静岡・山梨のうまい蕎麦83選」刊行にあたって


「そば屋には理屈があるが、そば好きに理屈はない」
今回の出版にあたり、1年をかけて静岡県と山梨県合わせ300軒を超えるそば屋を巡り、私が感じたことです。
店により、そば粉やダシの選び方や配合、作り方が異なるのには、それなりの理由とこだわりがあります。作り手にとっては、自分が持つイメージ通りのそばに仕上がった時が「最高のそば」であるに違いありません。一方、食べる側はそばを口に含んだ瞬間、理屈抜きに「旨い!」と感じるもの。作り手がイメージするそばと、食べる人がおいしいと感じるそばが一致した時、「幸せな出会い」が生まれることでしょう。 
この本には、83軒のそば屋が掲載されていますが、評判の店をすべて網羅しているわけではありません。私は12年前にやはり静岡県を中心としたそば屋を取材した本を出していますが、当時に比べずいぶん様変わりしていることに驚きました。そこで、すでに広く認知されている老舗より、まだ知られていない店、若手で頑張っている店、進化し続けている店をなるべく取り上げたいと考えました。また、富士山麓や伊豆、八ヶ岳など、静岡・山梨ならではの風光明媚な観光地に出掛ける際に訪れてほしい店もピックアップしています。
「一人の外食は必ずそば屋」という私にとっては、気軽に入れる店も、隠れた名店も、そば前を楽しめる店も必要不可欠な存在。水とそば粉だけで作られ、廃棄物もほとんど出ないそばは、シンプルで健康にも環境にも良い日本が誇るべき食文化です。
そば屋がある限り、醤油やみりん、かつお節といった優れた調味料も未来へ受け継がれていくことでしょう。もっと若い人にもそばのおいしさ、素晴らしさを知ってほしいと心から願っています。
どうかこの本が、そば好きとそば屋との「幸せな出会い」のきっかけとなりますように―。


※写真は、昨年取材で東伊豆を回った際、目に飛び込んできた誰もいない海岸の風景。下見から取材まで付きあってくれた加藤恵美子さんの撮影です。



上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

写真一覧をみる

削除
「静岡・山梨のうまい蕎麦83選」刊行にあたって
    コメント(0)